17. カスパーゼ阻害でハエの背中の毛が増加
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殿城亜矢子, 三浦正幸
キーワード
細胞分化, GSK3β, 外感覚器前駆細胞, カスパーゼ
カスパーゼ活性が細胞死ではなく細胞分化過程にかかわるなどの知見が蓄積してきている
カスパーゼ活性化因子Apaf-1(Dapaf-1)の変異体において、ショウジョウバエ背部剛毛(外感覚器)の増加が観察され、この領域のカスパーゼ活性が剛毛の発生に関与することが考えられた
外感覚器前駆体細胞でカスパーゼ活性化インジケーターSCAT3を発現させたところ、翅成虫原基でのScabrous陽性細胞クラスターで弱いながらカスパーゼの活性化が検出された
翅成虫原基における死細胞をTUNEL法で観察するとScabrous陽性細胞クラスターにはほとんどシグナルが観察されず、Scabrous陽性細胞クラスター内でのカスパーゼ活性化は細胞死以外の機能をもつことが予想された
カスパーゼは基質特異性をもったタンパク質切断分解酵素であることを踏まえると、カスパーゼが細胞運命決定に関与する分子を基質として切断し、細胞運命に関与するシグナルを発することが予想される
このような基質が遺伝学的なスクリーニングによって同定された
哺乳類GSK3βのホモログであるShaggyはWinglessシグナルを介して剛毛の発生を制御している
そのアイソフォームSgg46がカスパーゼによって切断・活性化することにより、外感覚器前駆細胞の数の調節に関与することが示された
カスパーゼ基質特異性の高いエンドペプチダーゼであり、活性化の度合いによって細胞死以外のシグナルを伝える分子の活性調節を行うことで、さまざまな生理機能にかかわることが考えられる